Vol.6 本間 清 さん(NPO法人 日本渚の美術協会)
プラスボランティア vol.6
あの時の海を取り戻したいという願い
今から50年以上も前、小学校の臨海学校で海の美しさに魅せられました。大学ではスキューバダイビングクラブに所属、毎週末伊豆の海に潜りに行き、結婚したら妻とこの海に潜ると胸に誓っていました。その後、念願かなって家族で伊豆の海に潜ったのですが、昔の海と違い、貝や魚など本来あるべきものがなく、缶やビニールなどなくて良いものがありました。あの時の美しい海を取り戻したいと思い、妻と二人で海岸清掃を始めました。ゴミが宝物に変わった
妻と海岸清掃を続けているうちに、ガラスや貝がらを捨てずに集めるようになりました。私も妻も美大に行こうか迷ったくらい美術が好きで、それで作品を作り始めました。その作品を友人に見せたら自分も作ってみたいと言われ作り方を教えました。友人がまたその友人に見せてちょっと話題になりました。作品を作るには材料が必要、ということで、今度は仲間で海岸清掃を始めました。するとゴミだと思っていたものが工作の材料として宝物に変わりました。2000年にその仲間たちとNPO法人日本渚の美術協会を設立しました。2階にあげて梯子をはずす
海をきれいにするにはゴミを捨てる人を減らし、拾う人を増やせばいい。子どもたちと海岸清掃をすると必ず「学校で友達に言いふらせ」と言います。すると子どもたちは「海でゴミ拾いをした」と自慢します。するとその子は街でもゴミを捨てられなくなるのです。「ありがとう」のひとことが長く続いている理由
この活動で辛いと思ったことはありません。ゴミ拾いは宝物探しになるし、工作はゴミに新たな命を吹き込む作業だからです。子どもたちに工作を教えると「先生ありがとう!」と言ってくれます。このひとことがたまらなくてやめられません。ある日、心の病を抱えた子が親御さんと工作教室にやってきました。気に入ってくれたのか、その後何度も来るようになりました。それだけでもうれしいのに最近その子の表情が明るくなってきたような気がします。言葉ではない「ありがとう」が伝わってきました。ボランティアをしていると思わないこと
これから何かしたいと思っている人に言いたいことは、とにかく気楽に何でもやってみること。そのうち自分に合ったものが見つかるはずです。ボランティアをしていると思うと飽きてしまうし長く続かないことが多い気がします。私のやっていることはアート創作を手段とした美化活動。たまたまそれが世の中の役に立っているというだけなんです。ほんま・きよしさん
1948年生まれ。海をこよなく愛する63歳。ダンディな容姿とうらはらに、笑顔を絶やさない明るいキャラクターで、ちよだボランティアセンターの事業に積極的に協力している。ダイビング歴45年。愛妻家。NPO法人 日本渚の美術協会
海辺の清掃活動を通してゴミ以外の漂着物を「海からの贈り物」とし、それを材料に簡単なアート作品の作り方を紹介している団体。海の貝殻工作・渚の万華鏡など。体験教室も随時開催しています。
TEL:03-5298-7339
E-mail:info@npo-nagisa.com
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