ボランティアをはじめる方へ
社会を良くしたい!〜ボランティア活動の持つ社会的役割〜
現代社会においてボランティア活動は、社会の普遍的な力となりつつあり、それが持つ“助けあう力”は、人々の“個人の自由な意志”をもとにした社会的行動として、地球上に生きるすべての人々の共生の社会を築く普遍的な“文化”として根をはりつづけています。
そもそも“ボランティア”の語源はラテン語のボランタール(自由・正義・勇気)からきています。
広辞苑では、「志願者・篤志家・奉仕者」「自ら進んで社会事業などに参加する人」という意味からも、
ボランティアの基本は、「自由な意思」で「自らすすんで行うこと」!
その基本も含めてボランティアには次の4つの原則があります。
1)自分の意志で…自主性・自発性
他から強制されたり義務として行う事ではなく、自分の意思で行う活動です。
2)みんなとともに…社会性・連帯性
誰もがいきいきと豊かに暮らしていけるように、互いに支え合い、学び合う活動です。
3)金銭は求めず…無償性・無給性
金銭的な報酬を期待して行う活動ではありません。しかし、お金では得られない出会いや発見、感動、喜びを得ることができます。
4)より良い活動を創る創造性・先駆性
今、何が必要とされているかを考えながら、より良い社会を市民の手で創る活動です。
また社会におけるボランティアの4つの役割をあげると、
1)人々の行政依存体質からの脱却。
2)ボランティア活動による“自覚と責任ある市民社会”の出現の促進。
3)市民による自律的・自治的活動として、民主主義を育み、守り、深め、高める。
4)「政治・行政セクター」や「企業・営利セクター」を監視し、
それぞれが健全に機能し発展していくよう働きかける。
このようにボランティア活動は、“助けあい”ということのみならず、社会の発展のためとなる重要な役割を有しているのです。
活動を始めるための、5つのアドバイス
1. 自分が属する組織を通じて活動する
◎地域の自治会、子ども会、大学内サークルなど身近な組織を通して活動する。
◎家族や親しい友人などの体験談などは貴重な情報源!
◎既存のサークル活動等において、ボランティア活動を取り入れることは、マンネリ化を防ぎ、組織を生き生きとさせる。
2. 体験学習プログラムに参加する。
◎ボランティアセンターや生涯学習センターなどの情報紙には多様なボランティア関連情報が掲載されている。
◎各種の掲示板、広報誌等のボランティア募集をチェック!
◎様々なプログラムに参加し、自分にあったものを発見しよう。
3. ボランティアセンターを尋ねる。
◎まず、近くのボランティアセンターを訪ね気軽に相談してみよう。
登録して紹介を待つというだけでなく、自らも活動先、開拓していく姿勢が大事です。自分から動こう!
◎インターネットやEメールでの情報提供を行っているところがある。Click!
4. ボランティア・NGOや様々な福祉団体のプログラムに参加する。
◎複数の組織や施設を訪問して、組織の社会的背景や、活動の特徴などを比較し観察しよう。
◎組織団体についての客観的情報をボランティアセンターや資料等で確認しよう。
5. 自分自身の手で計画して活動する。
◎自らの小さな気づきから、発展させよう。
◎多様なボランティア研究会に参加し、計画作りの参考にしよう。
◎国内外の活動経験者、研究者等と、積極的に出会い、ネットワーキングしよう。
<参考 ①>
ボランティアの起源は?
1つの説は「17世紀の中頃のイギリスにて、国内が混乱状態にあり、人々の生活は不安に満ちていた。そこで自分達の村や町は自分達で守ろうと、自ら進んで自警団に参加する人達が現れた。その人たちをボランティアと呼んだ」という説。
1つの説「18世紀後半から19世紀前半にかけて、アメリカ合衆国独立、フランス革命、南アフリカ諸国独立などに参加する義勇軍をボランティアと呼ぶようになった」という説。
いずれの説でも自分で進んで活動する人たちのことをボランティアと呼ぶようになりました。
(“Volunteer”を英和辞書で引くと、「志願兵」「義勇兵」と出ています。)
また、19世紀後半イギリス産業革命の進展の反面、不衛生で貧困な生活を送る人に対し、民間で組織的に取り組むため、1869年ロンドンにCOS(Charity Organization Society)が設立され、金品の施しよりも友人としてのかかわりに重きをおいた、友愛訪問活動を行いました。
これをボランティア活動の始まりとすることもあります。
この後、活動家自らがスラム地区に住み、人格的ふれあいを通じて人々の厚生と地域改良に取り組もうとするセツルメント活動が生まれました。
これに参加した人々の思いと行動が、ボランティアの原型とも言われています。
<参考 ②>
日本でのボランティア元年は?
1995年1月17日の阪神淡路大震災。震災発生後、最初の1ヶ月は1日2万人、2ヶ月で延べ100万人以上のボランティアが活動したのです。
「何かしてあげたい」「何かしなくては」という思いから、全国から惨事を知った人々がボランティア活動に駆けつけました。
その多くは、震災以前にはボランティア活動をしたことがない人たちでした。そこで、1995年を「ボランティア元年」と呼ぶようになりました。
<参考 ③>
NPOって何?
「NPO」はNon-Profit Organizationの略で営利を目的とせず、 自発的、主体的にさまざまな公益活動を行う民間の組織のことを指します。「民間非営利団体」と呼ばれることもあります。
一般的に市民たちの自発性に基づくボランティアグループや市民活動団体などの組織を表しており、以下の4つがNPOのキーワードです。
【NPOの4つのキーワード】
①自発的・主体的
これはボランティアの概念と同じです。誰かの強制で取り組むのではなく、 社会や地域の中で課題解決の必要な事柄に対して自らが行動を起こしていくことが必要です。
②公益的活動
行政の利益だけではない、広く市民の利益となる活動を行います。
③営利を目的とせず=非営利
収益活動の禁止ではなく、その活動によって得た利益を役員や会員に分配することなく、公益的な事業の活動資金とすることは非営利活動と考えられています。
④民間の組織
NPOの直訳は「非営利組織」となります。しかし、政府の支配に属さないという大前提があるので、そのことを強調する意味でも、 “民間”という文字が加えられることもあり、そして、この活動は決して個人によるものではなく、“組織”としての活動を意味します。
【NPO法】
1998年12月に施行された「特定非営利活動促進法」を、通称NPO法といいます。 この法律によって、公益的な活動に取り組む非営利団体の法人格取得が大幅に緩和されました。良い影響として以下のものが挙げられます。
◎ボランティア活動や市民活動を行う団体も法人格を取得できるようになった。
◎行政に従属する立場ではなく、対等な関係で活動できるようになった。
◎市民活動団体が、法人化の準備を進める中において、使命(ミッション)実現に向けた組織だとの意識が高まった。 また、各種の規程整備を通じて組織の体制整備がすすんだ。
◎行政や民間企業に比べ、柔軟な対応で、独自の目的を深く追求することができる多様な活動が生まれた。
◎NPOの概念の急速な普及により、無償のボランティア活動を敬遠していた人々が「非営利の仕事」という活動に興味を持ち、NPOに新たな人材が参画してきた。
※その後、2002年秋の臨時国会において ◎特定非営利活動の種類の追加、◎設立の認証の申請手続きの簡素化、◎暴力団を排除するための措置の強化、等のNPO法の改正が行われました。
【NPO法人の活動分野】
NPO法人が定款の設立目的や設立趣旨書に記載する、主たる活動内容は法律で定められた以下の17分野の非営利活動の1つあるいは複数に該当しなければいけません。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
<参考 ④>
NGOって何?
「NGO」は、”Non-Governmental Organization”の頭文字をとったもので、「非政府組織」と訳されています。 一般的には、開発、人権、環境、平和など地球的規模の問題の解決に、「非政府」かつ「非営利」の立場から取り組む、市民主体の組織を「NGO」と呼んでいます。 諸外国においてはNPOと同じ意味で使われることが多いですが、
日本では、
NGO=環境・人権・開発援助など、国際的な活動を行う団体
NPO=地域社会で福祉活動などを行う団体
という意味で使われる傾向にあります。
【NGOの基本的性格】
①市民社会に根ざし、市民の自発的な参加によって支えられていること。
②政府や企業から自立し、自律した運営を行っていること。
③利潤の追求や配分が目的でないこと。
④人道的動機、または社会的公正や社会正義の実現を活動の動機としていること。
【NGOの活動の特徴】
①緊急の場合、すぐ現場にかけつけることができるなど機動性に富むこと。
②現地の状況やニーズの変化に合わせ、柔軟に対応できること。
③現地の人々のニーズを細かく把握し、活動内容に反映できること。