「私はその人を常に先生と呼んでいた。」(情報マガジン Vol.345 2013年8月号より)
何の小説の冒頭だかわかりますか?ほとんどの方が国語の授業で触れたことがあると思います。夏目漱石の「こころ」です。
学生は夏休みに入り、宿題として読書感想文が出た方も多いはず。私も小・中・高校と毎年のように課題が出ましたが、中でも高校の夏に読んだ夏目漱石の「こころ」が特に記憶に残っています。当時の私にとって夏目漱石=1,000円札のおじ様で、「そんな古い人の本を読むなんて、数学の問題集を宿題に出されたほうがマシだ。」くらいに思っていました。8月の終わりにしぶしぶ母親の本棚をあさり、年季の入ったその本を手に取りました。
読んでみると夏目漱石の世界観に入り込み、すぐに読み終わったように記憶しています。(知らない方のために。登場人物は主人公とその親友、そしてお嬢さん。つまり男女の三角関係の話です。)読んだ当時は青春真っ只中の高校2年生。私にも好きな人がいたと思います。今から100年も前に現代と同じように悩み苦しみ、あの時私が感じたあの気持ちはここの文章とよく似てる!こういうことだったのか!と共感できたのです。
そこから夏目漱石の他の作品を読んでみよう!となったわけではないのですが、きっと今でも無意識のうちにその時得た知識を取り出し使っているのだと思います。嫌々やっていた夏休みの課題にもやっぱり意味があるのですね。
この夏は今までやってなかったこと、出会ってないものに自分から会いに行ってみてください。本を読む、映画を見る、旅行に
行く、ボランティアをする。その方法はたくさんあります。結果「やっぱり違ったな。」「好きになれなかったな。」でもいいと思います。少しでも視野が広がり、共感できる部分が一つでもあれば。秋になるころには少し成長した自分に出会えるといいですね。
(さかた/July 15, 2013)◆ちよだボランティアセンター情報マガジン「ボランティア」
Vol.345 2013年8月号(2013/7/25発行)より
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