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2012年1月25日

『バレンタインデーの思い出』(情報マガジン Vol.327 2012年2月号より)

内容

“アット・ア・ロス”…日本語にすると「途方に暮れる」という意味になります。中学英語で勉強したという人も多いのではないかと思います。私もまさにその一人です。そして、私にとっては、ほろ苦い青春時代を思い出す英熟語でもあります。
私は少年時代、一年でもっとも“アット・ア・ロス”な気分になる日は、2月14日「バレンタインデー」でした。内気な性格だった私にとって、バレンタインデーは「ひょっとしたら好きな子からチョコレートがもらえるかもしれない」という淡い期待と、「やっぱりダメだ」という悲しき喪失の繰り返し。まさに“アット・ア・ロス”な日だったのです。
中でも一番印象に残っているのは、今から18年前、中学1年生のときのことです。バレンタインデーが差し迫ってきたある日、「事件」は社会科の授業中に起きました。私は社会科の先生をとても慕っていたのですが、あろうことか、その先生は私の隣に座っている女の子に向かって突然「なあ、永松くんにチョコレートをあげてくれないかな?」と尋ねたのでした。その女の子は、才色兼備という言葉がぴったりのまさに憧れのマドンナ。クラス中が笑いに包まれる中、私とその子が赤面してしまったのは言うまでもありません。
実はその「事件」の後、私の中で小さな変化が起きました。変化といっても、①髪型を気にするようになった、②部活動を頑張るようになった、③好きでもない洋楽をFMラジオで聞くようになった等、今にして思えば「それに何の意味が?」と問いたくなるような恥ずかしいものばかりです。しかし、私なりにその子に好かれようと一生懸命だったのだと思います。
結局、その子からチョコレートはもらえず、“アット・ア・ロス”な結末を迎えることになります。しかし、動機は何であれ、無我夢中で新しいことにチャレンジした日々であったことは間違いありません。今では、バレンタインデーが、何かを始める「きっかけ」の一日になれば素敵だなと思っています。エコ生活、ダイエット、資格取得の勉強、そしてボランティア…今年のバレンタインデー、みなさんも何か新しいことを始めてみるのはいかがでしょうか?
さて、18年前のバレンタインデーの「成果」ですが、私がもらったチョコレートは、結局2つでした。差出人は、悲しいかな、私の母と姉。切ない恋の只中にいた私にとって、きっとほろ苦い味だったのではないかと思います。(ながまつ/ボラセンジャー・グレー/December.17.2011)

◆ちよだボランティアセンター情報マガジン「ボランティア」
 Vol.327 2012年2月号(2012/1/25発行)より

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