除夜の鐘
江戸時代の言葉遊び「物はづけ」で「寂しいものは?」の問いの答えに「寺の正月」というのがあったそうです。そういえば紅白歌合戦で藤山一郎さんが蛍の光のタクトを振り終えた瞬間に、雪の中の寂しいお寺にカメラが移り、ゴーンと除夜の鐘が響く風景を思いだします。
今日、どんな小さなお寺さんでも元日に参拝に訪れる方は多い様です。成田山には約3百万人が初詣に参拝するそうですが、初詣がこんなに習慣化したのは明治時代からだそうです。実は電鉄会社が自社の電車に乗ってもらうために沿線付近の神社仏閣をPR紹介したのがきっかけだそうです。
ところでこの除夜の鐘、108つ鳴らすのが習慣だそうですがなぜ108なのかご存じですか?
その1:人間の煩悩の数を表す説
その2:1年の季節の数を表す説
その3:四苦八苦説(4×9+8×9=108)等諸説紛々ですが、私はその3の四苦八苦説が好きです。
除夜の鐘の音、子どもの頃大晦日に、今年こそは鐘の音を聞くぞーと思っていて、眠くなってしまい、聞けなかったことが何回もありました。そこで、いつでもどこでも簡単に除夜の鐘の音を聞ける方法をご伝授します。裁縫箱に入っている和ばさみに糸を約50cm位結び付けてつるし、糸の片端を耳の穴に当てて、和ばさみを机等の角に振り子の様にぶつけてみてください。ゴーンという除夜の鐘(のような)の低い音が響いてきます。これは、音叉のような形状をしている和ばさみが振動し、低い音を発生するからだそうです。
除夜の鐘の音が効果的に語られている「芝浜」という古典落語の傑作があります。
飲んだくれの魚屋の夫に四苦八苦の生活をしていたおかみさんが、芝の浜で大金入りの革財布を拾ってきた夫に機転を利かせて夢だったと嘘を…。なんとか食えるようになった大晦日の夜、この嘘を打ち明けた時、響いてきた芝増上寺の除夜の鐘…。涙の向こうに新しい年からの幸せな夫婦の姿が目に浮かんできます。
皆さまの所にも今年以上の幸いが「鳴り響いて」参りますよう、私も初詣に出かけましょう。(ボラセンジャーグリーン)