2014年8月9日
被災地の今
今週岩手県の大槌町に出張に行ってきました。昨年もこの時期に出張に行ってから、、丸一年が経ちました。
町の高台から見る風景は一変し、津波で被害を受けた建物は一部を残して取り壊され、防潮堤の建設や更地になった土地に盛土が運ばれ、区画整理がなされているところでした。
(写真の上が昨年の8月、下が今年の8月に旧市街地を望む高台から撮った風景です)
町中ではダンプトラックや重機が往来している一方で、海岸では発災以来初めての海開きが行われ、夏休みに入った子どもたちが真っ黒になるまで海水浴を楽しみ、整備された港湾では子どもたちがのんびりと釣りを楽しんでいる風景。私の普段の日常と離れた風景に少し戸惑いも感じましたが、一年経った大槌町は復興に向けて、また一歩一歩進んでいるのだという印象を受けました。
今回の出張で特に印象に残った場所があります。
それは市街地から少し離れた集落の高台にある一軒の家。
津波の被害を免れたその場所からは、穏やかな三陸の海が良く見えました。その家の庭に佇む一つの電話ボックス。
電話ボックスの中には、配線がつながっていない黒電話が一台ありました。この電話ボックスは震災で親しい人を亡くした方が、空にいるその人と会話するために家の所有者が作った「風の電話」。
電話ボックスの中にはノートがあり、訪れた方々の想いが綴られていました。電話ボックスの佇まい。ノートに綴られた想い。そして、海を見渡す風景。
私は忘れることはないでしょう。この「風の電話」のことは、絵本にもなっています。
皆さんも機会があったら読んでみてください。(ちよだボランティアセンター 小川)