ボランティアを義務化?!
来年度からすべての都立高校で奉仕体験活動が必修となります。
また、11月29日に行われた「教育再生会議」内においても、学校教育のカリキュラムとして、地域清掃などのボランティア活動を必ず実施することが提案されています。そもそも、ボランティア活動とは自発的に行うものなのに、なぜ政府はそれを義務化するのでしょう。その理由としては、学生が成長していくためには、自分のためではなく他者のために何かを行い、そのことに喜びを感じる体験が必要だと考えているからだそうです。
確かに、ボランティアを始めるきっかけを作ることは社会の任務として必要だと感じます。しかし、ボランティアを義務化するのには少々気になる点があります。
まず、ボランティアとは助け合いが基本です。自分の意思で活動に参加し、無償の愛を分かち合う活動なのに、ボランティアを義務化することにより、その社会的連帯性が崩壊してしまうのではと感じます。つまり、いやいや強制的にボランティア活動に参加されても、本人にとっても受け入れ先にとっても苦痛なだけだし、かえって自発的なボランティア活動の広がりを妨げるのではと思います。
また、私が以前働いていた有料老人ホームには毎週多くの学生が実習に来て一生懸命勉強されていましたが、中には単位取得のためだけにきているのではと感じる学生さんも何人かいました。実習を受け入れる側としては、実習生やボランティアの存在は大変ありがたい存在です。まして、昨今の介護施設の経営的状況から、外部から無償でお手伝いしてくださる方々のチカラは、運営上でも重要な役割を担ってきています。
しかし、意欲がない、強制的にきている何名かの学生やボランティアの方からは、入居者に対する愛を感じることできませんでした。なにも出来なくてもゆっくり話を聞く、笑顔で挨拶をする、それだけでも十分入居者の方々と愛を分かち合えるのに。そのような場合、入居者の方々にも負担・ストレスとなってしまい、実習生が来ることに少々ため息がちになりかねません。都立高校の奉仕体験活動は来年度から実施されますが、学校・受け入れ先ともに、このような活動が学生に与える効果を再認識した上で、本気で取り組んでもらいたいなと思います。例えば、学校では、ボランティアを体験しに行かせるだけではなく、体験の前後にボランティアの社会的ニーズを研究・報告したりなど、活動の経験から様々な実践的教育を行ってもらいたいです。また、受け入れ先は、学生をお手伝い要員として扱うのではなく、将来を担う学生の方々にとって、施設が大切な成長の場となるよう、一人一人の個性を生かした体験プログラムを作成して頂きたいと思います。
安倍首相は大学入学の条件として、ボランティア活動の義務化を提唱しています。
ボランティア活動から得られる経験は本当に大切なもので、自発的に行う学生にとっては大変有益なものだと思いますが、義務化によって被る様々な状況を、もう一度検討して頂きたいと思います。
ただ、ボランティアのきっかけとして、学校の「総合的学習の時間」などで、様々なボランティア活動を体験することは大賛成です!これからもボランティアの素晴らしさを伝えていきたいし、活動は福祉分野に限らず、環境問題や国際関係など、広い範囲に存在していることを、多くの学生さんに知っていただけるよう情報を発信していけたらと思います。ブラウン